塩顔男子とバツイチ女子



「こたつで食べよっか。寒いし、テレビ見ながらゆっくり」

「美味そう」


なつみさんは器に煮込みハンバーグを盛り付けている。ダイニングテーブルの上にはすでにお皿に盛り付けられた料理が並んでいて。ローストビーフ、イカとアスパラガスの炒め物、鮪のお刺身、トマトとチーズのカプレーゼ。それからお鍋の中にはポトフ。


「お刺身はうちの実家からお裾分け」

「それ以外はなつみさんの手作りなんだ」

「最近、全然料理してなくて。久しぶりだから味の保証はないけど」


見た目からして美味しいに決まってる。ここのところ、お節にお餅、お寿司とかお正月らしい和食が続いていたから洋食があるのも嬉しい。

なつみさんと手分けしてお皿やお箸を運ぶ。それからナッツの食事の用意も手伝った。キャットフードは乾燥している物と生タイプを半々くらい、それから茹でたササミと温野菜も少し。


「北斗くんは何飲む?」

「一杯くらいはなつみさんに付き合います」


元旦は家族で乾杯して、昨日は父の実家で祖父母や親戚、いとこ達と乾杯。今日は母方の祖父母が泊まりに来ているけれど、俺は昼には家を出ちゃったし。普段お酒は飲まないけどお正月だから、なつみさんと一杯くらいは。それに二人でお酒を飲むのは初めて食事に行って以来だから。


「今日はノンアルにしようと思ってて。明日から仕事だし――夜勤だけど。それにここら辺はバスなくなるの早いから、帰りは送って行くよ」

「残念。お正月だし、なつみさんと一杯くらいはって思ったのに」


なつみさんは明日から仕事始め。夜勤からスタートってハードだな。俺は大学が始まるまでもう少しあるけど、それでも二週間くらい通ったら長い休みに突入する。