「いやいやいや、ちょっと待って。意味が分からない。あのさ、何がどうしていつの間にそんな事になってるの?不倫?愛人?ていうか子どもって、ホントに自分の子なの?」

「俺の子だよ。間違いない」

「いつから?」


夫は半年程前に取引先で知り合った私より五歳も若い女に好き好き言われた挙句、数人で飲みに行った時にベタベタとスキンシップを仕掛けられ、そこそこお酒も入り、その勢いでやってしまったらしい…。
そして気づけばお互い本気になって今に至る、と。


「…とりあえず電話するわ」

「誰に」

「オマエの親だよ!!決まってんだろ」


ブチ切れた私はすぐに義両親に電話して、たった今聞いた事を全部ぶちまけた。義両親は怒り狂って、すぐに我が家にやって来ると義母は夫をビンタして怒鳴り散らした。義父は勘当だと言い渡した。
それまで一度も親に手を上げられた事がなかったらしい夫はショックで黙り込み、義母の激しい叱責に、しどろもどろだった。


かくしてその一ヶ月後、私の結婚生活は呆気なく終わりを迎えた。
すったもんだあったものの、弁護士を立ててわずかばかりの慰謝料をもぎ取り、自分の身の回りの物を持って実家に帰る…帰れるわけもなく、祖母の家に転がり込んだのだ。


離婚は私のせいではない…と思っているのだけど、半年経った今もとにかく肩身が狭い。
母に至っては疲れ切った私にこう言い放ったのだ。


“自分の旦那がおかしな行動してるな~とか、これっぽっちも気づかないの?そんなんだから外に女作ったんでしょ”


つまり私が鈍感だったから浮気された、と。