キャラクターのイルミネーションスペースでは、なつみさんのテンションが更に上がった。今でも子どもから大人まで人気のあるキャラクターがほとんどで、お互いにどんなアニメを見ていたか話したり、写真も撮ったりした。

宇宙をイメージした空間では、まるでテーマパークのアトラクションのような――本当に宇宙に来てしまったかのような幻想的な光が広がっていた。


入口と同じく出口へと続く道もイルミネーションのアーチになっていて、そこを歩きながらなつみさんが言った。


「ここでこんなに綺麗なんだもんね。来年は違う所を見に行こうかな」


手を繋いだまま、そういう事を言うなつみさんはずるい。


「その時、俺も一緒に行ってもいいですか」


なつみさんは立ち止まると、はっとした顔で俺を見上げてきた。なつみさんの手を引いて少し歩くと、アーチを抜けた最後の場所に大きなツリーが光り輝いている。


「俺、なつみさんが好きです」


向かい合って両手を握ると、手を繋いでいなかったなつみさんの左手はとても冷たくなっていた。


「自分ではまったく気づいてなかったけど、一目惚れでした。あの日咄嗟に嘘をついたのは、俺が無意識になつみさんに惹かれていたからだと思います」


みすみさんのお店まで玉木が後をつけてきて、そこにたまたま、なつみさんが来て。見た瞬間スローモーションのように感じて一瞬でなつみさんを認識した。そして玉木に嘘をついた。好きな人だと。あの日からそんなに時間が経っていないのに、もうずっと前の出来事のように感じる。