海でまた知らない彼に会った。


こうやって…私の思い出が増えていく。


温かい家庭で育った皇雅。

冷たい家庭で育った私。


真逆の環境で育っても…お互いの気持ちは一緒。


「咲雪…?」

「何?」

「足…冷たい…」

「あっ…ごめん‼」


お互いの体が離れる…

目の前にいるのに…切なく感じる。


「咲雪は…俺以外…無理かもね?」

ちゃかすように聞いてくる彼に…

「皇雅じゃなかったら…こんなに好きになってないよ…初めてだよ…こんなに人を好きになったの…」


「さすがにテレる………そう返ってくると思ってなかったから…」


テレ笑いしながら私にキスをした。


「帰ろっか?」

その言葉に私は「どこに?」

「俺んち‼」

その言葉に安心した…「うん‼」


この日は何度体を重ねただろう…。

お互いを求め合った。

何度も…何度も…。


疲れて眠るその顔は子供みたいで…「かわいい…」


裸で抱きあうと温かくて…鼓動が子守唄のように聞こえる

不思議と落ち着くリズム…。


私も気付けば眠っていた。

彼の温もりと香りに包まれて。


「咲雪…?」

「何…?」

眠りから覚めても目の前に彼の顔…。

ずっと…こうしていられたらいいのにね…。


-ブーブーブー…-


「皇雅…ケータイ鳴ってる…」

「誰?この番号…」

「出てみたら?」


「はい…」


「皇雅…みさき…」

何…この胸のザワつき…。

「あぁ…何?」

冷たい…

こんな顔…見た事ない…

「今、会える?」

「無理…彼女と一緒だし…俺はもう会う気ない」

「今、家の前にいるから…少し…話そ?」

「彼女いるから…」

「いてもいいから…」


面倒になったのか部屋にあげた皇雅。

服を着て、私は布団にくるまっていた…。

お母さんと話している声…

少し困ったように聞こえた。

私に気を気遣ってくれた…。


部屋のドアから、「早く来いよ…」

そう呼ぶ皇雅はやっぱり冷たい…。


初めて会う「元彼女…」

強そう…私を睨み付けるように見る。


「で…何?」

「やり直そう?私たち…」

「ないね…」

「今の彼女、高校生でしょ?遊びじゃん…」


子供だから…?

傷つくよ…「遊びじゃん…」


「遊びな訳ないし…俺はコイツと本気だから」

「皇雅は嘘ついてる…そんなハズないよ…結婚早くしたいんでしょ?私だったら、今だって出来るし…」

「………話しにならないわ」


あきれたようにふかすタバコの煙までも寂しく見える。


「子供と恋愛してどうすんの?親の言う事聞いて、黙って学校通いなよ…」


やっぱり私は「子供…」

いい子にしてなきゃならない…。


「お前に関係ないし…」

「あるし…目を覚ましなよ‼皇雅は大人じゃん…」

「お前こそ目覚まして離れてくれない?」


「私は大人だよ?現実見てるよ‼こんなガキより…」


そう言うなり私の衿を掴んだ。


-プチッ-

「あっ…」

ネックレス…切れた…初めてもらったプレゼント…。


「お前な…」


-ガチャ‼-

「皇雅‼手挙げたらダメ‼」

そう言って部屋に来た…お母さん…。


「みさきちゃん…いい加減にして‼」


シーンとなる部屋…


「この子は確かに子供だよ…でもね、この子も苦労してるの‼みさきちゃんの話し…黙って聞いてるこの子はあんたより…大人だよ」


「私の方が子供?」


「歳は大人…気持ちは子供…そう言いたいの」


「お母さんは私の味方じゃないんですか?」


「味方じゃないよ…皇雅はね…この子と付き合ってから変わったよ…」


「母さん‼いいって…」


皇雅はお母さんの言葉を止めようとした。


「よくない‼毎日…楽しそうだから…みさきちゃんといた頃の皇雅じゃないよ…ピリピリしてないし…朝も起こさなくても仕事行くようになった…」


お母さんは子供の小さな変化にも気づく…


うちにはない事…


羨ましい。


お母さんは「みさき」という元彼女を連れて行った。


「もう…来ないで」と。


泣くわけでもなく騒いで帰って行った…。


「お前の事許さない‼ガキのクセに」


そう言葉を吐き捨てた。


皇雅は一言…「あんな女…見せたくなかった…」


「ねぇ…これ…直して」

「あっ…切れてる…ケガない?痛くない?」

「痛い…ここ…」

手を胸に当てた。


「ごめん…」


「皇雅は悪くない…本当の事だから」


「俺はガキじゃなくて、一人の女として見てるよ」


なんだろう…癒されていく…涙が溢れてくる…


「本当?」


「当たり前だろ…俺の泣き虫でかわいい彼女」


皇雅はいつも…私の心をさらっていく。

あっという間に…一瞬で…。


17歳…生意気?

何を言われてもいい…。


私は21歳の彼に夢中です。


どんな風に思われても…。