ホームルームが終わり、休み時間になると、沢山の人が話しかけに来てくれた。

「ねぇ、永遠ちゃんはどうしてこんな時期に転校してきたの?」

やっぱり聞かれるか…。

「お父さんの転勤だよ」
皆にこう答えてる。

「そっかー、大変だね。
何かあったら、何でも言ってね!」

「ありがとう」

考えるだけで心臓が痛い。
両親がいないなんて、言えない。
……言いたく、ない。

きっと、なんて言われてもその言葉を素直に受け止めることが出来ないから。
それに…。人に言ったら、本当に消えてなってしまう気がする。
それは嫌だから。

でも………

「永遠ちゃん、まだ緊張してるの?」

「そりゃ、あんたがペラペラ喋りすぎるからでしょ。知らない人に話かけられっ放しだもんね?」

「えー、なにそれ。私のせいみたいじゃん!」

すぐそこで、私が一言も喋っていないのに、私のことで笑顔になるクラスメイト。
今は、そんな空間がそこにあるってだけで幸せだと思える。

「あっ、永遠ちゃん笑った!」

「あんたの不貞腐れっ顔が面白かったんでしょ。ぷぷぷ」

「なにさ、人の顔見て笑わないでよねー!」

心に花が咲いたみたい。幸せ。

「ありがとう」

こんな時を、大切にしたいな。