「え?春君!?」

思わず声を出してしまった私に、向こうをむいていた佳君が、

「あれ、言ってなかったっけ?あいつもこの学校なんだよ」

って。
じゃあ、同じ学校の先輩なんだ。
なんでだろう、すごく嬉しい。

サッカー部なのかな。
あと10分もしないうちに授業が始まるのに、まるで子供みたいに無邪気にボールを追いかけ回すその姿から、目が離せなかった。

毎日やってるのかな。朝から、あんなに走って1日を過ごしてたら、そりゃ、仕事の時には眠くなるよね。

そんなことを考えて、昨日の春君の寝顔を思い出して、口元がほころんでしまう。
そして、少し胸の奥が熱くなるような、不思議な感覚。でも、すごく心地がいい。

今度、あのお店に行った時にはもっと色んな話が出来るな。

しばらく外を眺めていたら、始業のチャイムが聞こえて、「やっべー」って慌てて校舎に向かってくる春君が見えて。

また、少し笑っちゃう。