「桜ちゃんって言うんだね!」

何か、とても嬉しそうな店員さん。

「はい。桜 永遠と言います。」

「桜 永遠ちゃんかぁ。このお店と同じ名前!」

そっか。このお店、『桜コーヒー』だもんね。
にこにことこちらを向く店員さんを見ると、こっちまで嬉しくなる。

「佳と同じクラスだったんだな。」

「おう。しかも隣の席。」

秋山君は佳君って言うんだ…。

「そっか!羨ましいな。」

「春は"一応"先輩だから、同じクラスになれないもんな」

「一応を強調するなって!」

楽しい。漫才みたい。

「そうだ!永遠ちゃん、第1号お客様特権考えたよ。」

急に真剣な顔でこっちを向く店員さんに、少しドキっとする。

「泣きたい時」

「え?」

「泣きたい時、ここに来て泣いたらいいよ。」

……泣きたいような、顔してたかな。

「おい、春。お前もっとデリカシーってやつを身につけないと、お客さん誰もこねーぞ。」

「え、ダメだったかな。あっごめんね?別に気にしなくていいから!」

「気にするだろ!何言ってるんだか。」

「ええ、どうしよう。とにかく!夜は結構遅くまでやってるし、ご飯もやってるし、何ならお店が終わってからでもいいから、また来てください!」

そう言っておろおろする店員さんと、呆れ顔の秋山君。

見ていて楽しい。素敵なお店だ。