「…星、…星、どうした?」
「…ぇ?」

星空の言葉に、再び目を開けた。

私を抱き締めたまま心配そうな顔で私を見る星空。

「…夢」

私は、ボソッと呟く。

「…怖い夢でも見たのか?目をつぶったまま険しい顔つきだった」

星空の言葉に、やっぱり夢だったと、ホッとすると、星空をぎゅっと抱き締めた。

「…怖い夢…」

大好きな星空に抱き締められ幸せな気持ちで一杯だったのに、何であんな夢を見たのか?

隣に、自分の知らない男が寝ていたなんて。


「…一人で帰れるか?」
「…大丈夫です」

お互いに身支度を整え、部屋を出るときに星空が私に問いかけてきた。

私は、笑顔でそう答える。

それなのに、星空は私を抱き寄せた。

「…星空?」
「…星を今、一人にしたくない」

その言葉の意味が理解できず、星空の顔を見つめる。

「…星空は心配性ですね」
「…自分でも驚いてる。星の事になると、些細なことが心配になる」

そう言って困ったように笑った星空に、私は、微笑んで見せた。

「…ただの夢ですから。お仕事頑張ってくださいね」
「…あぁ。気をつけて帰れよ」

ホテルで別れた私達はそれぞれの場所へ。

マンションについた私は、部屋番号を押し、鍵を回してエントランスに入る。

…これは、夢の続きなんだろうか?