私は、星空の手をぎゅっと握り締め、星空を見上げた。

「…星」
「…わかりました。宜しくお願いします」

そう言って微笑めば、星空は周囲に沢山人がいるにも関わらずぎゅっ。と私を抱き締めた。

「…ホントに、私と星さんとは、扱いが180度違うわね」

そう言って、紗理奈は苦笑した。

今日は打ち合わせと言う打ち合わせは特になく、いろんな話をして、その日は終わった。

「…詳しいことは、おいおい決めていきましょうね」

紗理奈の言葉に、頷いた。

星空は紗理奈を車までエスコートすると、私のもとに戻ってきた。

「…星、今夜はここに泊まろうか?」
「…ぇ?えっ?!」

あからさまに驚くと、星空はフッと笑って私を部屋に案内する。

最上階のスイートルーム。

そこからの夜景は最高だった。

「…明日からまた、仕事が忙しくなるから、今夜は星と何も気にせず、ゆっくり過ごしたい。いいだろ?」

夜景に見とれていた私を、後ろから抱き締めた星空が耳元で囁く。

赤くなる私を見て、星空はフッと笑みを浮かべ、私の頭にキスを落とした。

星空は本当に甘い人。

彼の優しさに、彼の愛に、簡単に溺れてしまう。

星空のキスに酔いしれていると、部屋のチャイムがなる。

星空が部屋に食事を用意してくれていたらしい。

料理を食べながら、少しの会話を楽しみ、食後には、私に合った、アルコールの軽いカクテルを作ってくれた。

ほろ酔い気分の私に、星空は何度も耳に甘い言葉を囁いた。


「…星、愛してる…お前をもう離さない」


そのあとは、何度も何度も、星空に抱かれた。


いつのまにか寝てしまった私は、翌朝、幸せな気持ちで目を開けた。抱き締める星空の顔を見て、一気に目が覚めた。



「…貴方は、誰?」


抱き締めるその人は、星空ではなかった。