「…光先輩」
「…」

家まで送ると言ってくれた光。私は何度も光を呼んだけれど、何の返事もなく、ただ黙って私の手を引いて、星空のマンション迄歩いてきた。

一歩先を歩いていた光が足を止めて、一言言った。

「…星ちゃんが不幸せな理由が分かったよ」
「…え?」

光の真後ろに居たため、向こうに何があるのか分からない。私は顔を覗かせて、顔を歪めた。

「…光…星、どうしてお前達が一緒にいる?」

そう言ったのは、星空。

…その隣には、あの綺麗な女性が。

私は二人を見ていられなくて、星空から目線を反らし、光の手を握りしめた。

光は一瞬握りしめられた手に視線を落とし、その視線は、星空に向けられた。

「…義兄さん、隣の人は、誰?」
「…光には関係ない人だ」

「…星がいるんだ。説明してくれる?」
「…」

光の言葉に、星空は一瞬躊躇った。

「…もういいです。邪魔者はここにいない方がいいですから」

そう言って、ふぅっとため息をついた私は、光の手を引っ張った。

が。

その手は払いのけられてしまった。

私も、そして、光も驚いた。

「…星、今の言葉取り消せ」

払いのけられてしまい、宙に浮いた手を掴んだのは星空。この言葉も星空のもの。

「…だって、そうじゃないですか。昼間だって」

思い出しただけで、涙が浮かぶ。


「…星、何を勘違いしてる?そんなに俺が信用できないか?」

…まだ、星空の事を何一つ知らない頃に一度、そして、昼間、最後に今。

信用したくても、できない自分がいた。


「…信用出来ないなら、別れれば?」

そう言ったのは、女性だった。