「…俺じゃ、星ちゃんを、苦しめるだけかな?」
「…ごめんなさ…」

ポロポロと泣き出した私は、その場を走り去った。

…走って、走って、走って…

着いたところは。

「…お母さん」

母のお墓がある墓地…

今日は、くしくも、母の月命日だった。

…今日はお花も、お供えものも、何も持ってきていない。

私は、お墓の前にしゃがみこんで、手を合わせて目を閉じた。

…何度も、何度も、母に謝った。

…母の命を奪った人を好きになってしまったことを。

…ヵサッ。

何が物音がして、目を開けた。

墓前に、大きな花束が置かれている。

一体誰だと、私は上を見上げた。

「…?!」

驚かずにいられない。

「…今日は、月命日だったから」

それだけ言うと、その場を去っていく。

…このまま、去られてしまう。…私は立ち上がると、追いかけて、腕をつかんだ。

「…星空」
「…」

何も言わず、私に背を向けたまま、見ようともしない。

「…毎月来てくれてたんですか?」
「…」

「…答えてください」




「…命の恩人だ。…亡くなったときからずっと、欠かさない」



命の恩人?

それは、母が?


私は、星空の腕を強くつかんだ。