…それから徐々に、ご飯も食べれるようになった。

それから間もなくして、退院して、数日間、自宅療養した後、大学に復学した。

…そんな私のとなりには、いつも、光がいた。

片時もはなれないで、献身的に、私に尽くしてくれた。

とてもありがたかったが、私に笑顔が戻ることはなかった。

…それは何故なのか?

…光が傍に居ることは、星空を忘れさせてはくれなかった。

異母兄弟の二人。

二人は似ても似つかない。けれど、それを知ってる私にはそれが辛かった。

…あの告白以来、星空には会っていない。

会っていないのに、日に日に想いだけが増していく。

星空に心は囚われたまま、どこにもいけない気持ちだけが、くすぶっていた。

「…星ちゃん」
「…光先輩」

大学の講義を終えた私は、自宅へ帰ろうと、門のところまで来ていた。

そんな私を待っていたかのように、声をかけてきた光。

「…家まで送るよ」
「…」

「…星ちゃん?」
「…もう、」

俯いてしまった私の顔を心配そうに覗きこむ光。

私は俯いたまま、光に言った。

「…もう、一人で大丈夫ですから…だから、こんなことしてくれなくてもいいです。ずっと、傍にいたら光先輩が疲れてしまう。私のせいで、やりたいことも出来なくなるから」


…星空の事を忘れられない。



「…俺が傍にいたら、東條社長の事を忘れられない?」



光の言葉に、顔をあげた。

悲しげな光の顔…

そんな顔をさせたい訳じゃない。