「緊張するの」
「しないよ」
「コツは何かありませんか」
「目を見る」
「余計緊張するもん」
「チキンだな」
「私はお肉じゃないよ」
「何でもないよ」
「どうすればいいかな」
「女友達だと思えばいい」
「オカマみたいな?」
「ちがう」
「オカマ?」
「違うって」
「オカマでしょ?」
「もうそれでいいよ」
「じゃあまずはオカマを探さなきゃね」
「そんなもん学校にいないと思うけどね」
「言い出したのは誰でしょう?」
「……」
「そのとおり、珠理、あなたです」
「そういうつもりの沈黙じゃないんだけど」
「そうか」
「うん」
「とりあえず、これから2組行こう」
「なんで?」
「英語の教科書かりなきゃ」
「オカマ探しじゃないのかよ」
「いいんだよ、行こう」
「……最初の悩みはどこいったんだか」