カタコイ

どれだけ走ったんだろうか。



なんて言っても、息がきれるまで無我夢中に走った距離なんてしれていて、いつもの見慣れた本屋の前だった。



よく、ここの本屋に伸と寄ってゲームの話や漫画の話をしているのを思い出した。



その時の伸の笑顔を思い出す。
それと同時に、伸の悲しい顔も思い出す。



バカだ。


応援の一言でもかけてやれば、あいつは今頃………。



それを出来なかったのは、俺が__



そこまで思ってやめた。
それを心の中ででも言葉にしてしまうと、本当に後戻りできない気がした。



その時、本屋から女子高生2人が出てきた。
別に盗み聞きなんてするつもりなくて、ただ聞こえただけだった。



“ありきたり”って言葉が。