「…ほんっっま一々勘に障るやっちゃ。
立場上嫌われる事は慣れとるけど此処迄苔にされたんは…」
香音の言葉には目も暮れず相変わらず言葉の減らない紫吹だったがふとある事に気付いたのをきっかけに一旦口を閉ざした。
「…何?」
一層不愉快な顔をした香音がぶっきらぼうに訊ねる。
「いや、今のその無様な面に…よう似とった奴を思い出して笑いそうになってん。」
「は?」
人の顔を見てその上何かを思い出して更に笑いそうなどと言われ意味が分からないと首を捻る香音だったが今の香音の表情は
憤怒にも似ていて其れで尚且つ哀しみと恐怖に震えているような、今にも何かが零れ落ちそうな勢いである。
銃を持つ手も小刻みに震えている。
その様子を見ていた紫吹は徐々に口角を上げたと思ったら突然吹き出したように笑いだした。
「ガキみたいな顔しくさって、いや、あの時おった奴もまだガキやったな。」
「?」
何かを思い出し香音は何故か胸の辺りが痛くなるのを感じ、只紫吹に聞かされるが侭になる。

