引き戸の音がして一瞬客かと思ってそちらを見た香音だったがまたすぐに視線を反らした。



望みもしない奴が『また』来やがった…




「もう来んなっつっただろ。

何しに来たの?」





そこには少し背の高い男が立っていた。


航聖だ。




「まだこの時間までやってたのか、この店。


いや別に、たまたま暇だったもんで近くを通り掛かっただけだ。」



「単なる嫌がらせにしか思わないから即刻立ち去れ。


本当に帰って来てほしいモノはもうここには帰って来ないのだから…」



香音がそういうと航聖の眉間が僅かに動く。