いきなり藤くんが叫んだ。
「なになに!?」
「みて、キーボード!まだ使えっかな?」
どうやら電子ピアノを発見したらしい。
軽くホコリを払って電源をチェックしてる。
「頼むっ、マジで!!」
「あ。ついた。」
「しゃっ!!!」
なんでキーボード1つでこんなテンション上がってんの???
その疑問が消えるのに時間はかからなかった。
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優しくて、とっても綺麗な音。
そして何よりすごい穏やかな藤くんの表情。
まって、なにこの激しすぎるギャップ。
理解が全く追いつかない。
めっちゃうまいな…藤くんの世界に惹き込まれてあっという間に魅了される。
「どうどう?意外っしょ!」
あ、安心した。いつもの藤くんだ。
「すごいね…私男の子でここまでピアノうまい人初めて会った。」
「いやいや、俺はただ好きなだけ。笑
親が保育士やってるから、ちっさい頃から姉ちゃんと俺とピアノ触ってきたんだ。」
ピアノが好きっていうのは、もう音からも表情からも、ひしひしと伝わってきてる。
「久々に弾いたから楽しくてしょうがないんだけど!
なんか美羽、リクエストとかあれば弾くよ?」
「え、じゃあジャズっぽいのがいいかな、、」
「ジャズね、おっけ。」

