全てを覚悟したはずなのに、この時のボクはまだ知らなかった。
この告白が、なにもかもなくすということを。
あんなに共感し合った本が原作になった映画を見に行く約束も、柄にもなく動物園へ行こうと言った約束も、お揃いのミサンガを付けて拳をぶつけ合ったあの時も、夏に男同士でやっぱり今年も彼女できなかったなってむさ苦しく花火大会に行ったあの日も、オシャレなカフェに入る勇気が出なくて結局チェーンのファミレスで食べたケーキの味も、泣きたくて仕方ないからカラオケボックスで叫び明かしたあの夜も、当たり前にシェアできていた水筒のお茶も、くだらない会話で門限ギリギリまで盛り上がった寄り道も、全部全部なかったことにされる。
いや、君の中で気色が悪い忌々しい記憶に塗り替えられるなんてことを。