「んっ……?!」









あまりにも突然のタイミングで


心の準備ができていなかった私は
目を見開いたまま それを受け止める。







そして何度か啄むようなキスを繰り返されていくうちに



私は段々と力が抜けて、
目を閉じる。









……っ……何これ……。









(…気持ちいい………っ。)









そんな風に感じながら

彼のキスを受け止めていると






離された時には

もう何も考えられなくなっていて







私はトロンとした目を彼に向けて

口で呼吸を繰り返した。









「そんな目しやがって…
ファーストキス、そんな良かったのか?」








そんな私を見下ろしながら

彼は妖美に口角を上げて
私にそう言う。




私が目を瞑って顔を逸らすと

頭上でクスクス笑う幸次郎さんの声が聞こえた。









「約束通り、これで許してやる。」

「っ……。」

「でも次やったら…今度はこんなんじゃ済まさねェから。」









───覚悟しとけよ、と






彼は愉快そうな声でそう言って

そのまま、リビングから出て行く。







私はしばらく呼吸を整えてから
体を起こして


慌てて自分の服を整えた。









(な、何あれ……!?
幸次郎さん別人みたいだったよ…!?)










紳士でクールな軍人様かと思ってたのに

実はあんな、あんな…!








(猫かぶりの俺様だったなんて───!!)








私は心の中でそう叫びながら

自分の顔を押さえて、
これからの同居生活に不安を抱く。








あ、あんな人と一緒に2人暮らしなんて…







私一体、どうなっちゃうの?!