「ちょ、ちょちょちょ…!!
な、何してるんですか…っ!?」

「見ての通り、貴女を起こしていました。」









─────どこがですか。










「ど、退いてください!
そしてシャツをちゃんと着て…っ!!」

「おっと…これは失敬。」









そう言うと

昨日と同じような
意地悪な笑みを浮かべながら

私の上から退く幸次郎さん。








ね、寝込みを襲うなんて最低です…っ!









「どうして私の部屋に勝手に入ってるんですか!」

「起床時間を過ぎても寝ていられるので
起こして差し上げるのが道理かと。」









それとも、遅刻するおつもりでしたか?




嫌味に口角を上げながら
私にそう言った。







起こしてくれたのは…確かにありがたい。






でも───









「それならせめてもっと普通に起こしてください…っ。」

「今後努力致しましょう。」









私の訴えに

幸次郎さんが目を細めながらそう答える。






直す気ないなこの人…っ!









(もう、何でこんなに朝からバタバタさせらるの…っ。)








私はそう思いながら

幸次郎さんを部屋から追い出して
急いで制服に着替える。








───昨日





あれから、私の荷物が一斉に届いたり
親からの電話が入ったりと

終始、バタついていた。







そしてそれから

疲れのせいで倒れるように寝て




今朝から───これだ。









至って普通に生活できている彼が
不思議でたまらない。





…私は未だに夢のようだっていうのに…









(そんなことより、早く着替えなくちゃ…っ!)









私は時計を見上げながら

急いで朝の準備を終わらそうと




制服に着替えてから
即座に 洗面所へと向かった。