一目惚れだった。


当時中学生だった幼き日の私は、一瞬で恋に落ちた。






入学式の次の日、教室に向かっている途中に廊下の向かいから現れた初恋の人。



決して目立つタイプじゃない、大人しいタイプの男の子。

でも私には一際目立って見えた。
その人しか見えなくなった。



身体を稲妻が走る、とはこのことだと思った。



周りより頭一つ大きいすらっと伸びた背。


サラサラな色素の薄い髪。


切れ長な目。


少し不機嫌そうな顔。




惹きつけられた。何故だか分からない。


その日からずっと見てきた。



上履きに、十和田 と書いてあった。


そこで初めて苗字を知った。



私は急いで入学式で貰ったクラス表に目を通し、十和田の文字を探した。
幸いな事に学年でその苗字は一人だったのですぐ見つけられた。






“ 十和田 俊 ”






「とわだ、、しゅん、、、」





名前を口に出しただけで胸がキュッとなったのを今でも覚えている。