仮に君と恋をしたなら




井澤と木戸が弁当箱を開けて、ガツガツと口の中へ放り込んで行く。私は二人のお弁当をまじまじと見た。



「どれ?何かほしいの?」



じっと見ていたことを木戸に気づかれ、咄嗟に否定した。



「違うの、お弁当…どんなものが入ってるのかなって。どんなものが嬉しいんだろって」

「はは~ん、さては真山に?」

「え?!まぁ…」

「何だよ、ラブラブかよ。ドンマイ、圭輔!」



木戸がポンと肩に手を置くと、その手を掴んで放った。



「山田の手作りなら俺は何でも嬉しいけど、真山も同じじゃない?アイツの好きなの入れとけば喜ぶと思うよ」

「ありがとう、小宮」

「さりげに、アピったな。響いてないけど」

「本当黙れ」



私は笑うと同時に咳が続けて出た。少し治まったと思って油断していたら、驚いて空気が気管に変な入り方をしたみたいで噎せるように咳をした。



「大丈夫?!」



小宮が優しく背中を擦ってくれた。



「あ、ボディタッチ」

「や、セクハラだろ」

「今、ふざけてる場合かよ!」



小宮は井澤と木戸に、呆れながら注意した。



「大丈夫、ちょっと風邪気味なのと、噎せたのが一気に来ちゃっただけだから」

「今日の放課後、委員会休んで帰った方がいいよ。午後も辛かったら早退したら?」

「平気だって。咳も治まったし。ビックリさせてごめん」



私は購買で買ったタマゴサンドを元気一杯に口へ放り込んだ。