仮に君と恋をしたなら




何だか、笑いが込み上げてきた。



「あ、笑った」

「ばか、笑われたんだよ!」

「どう違うの?」

「バカには一生わかんねーよ!」



一気に緊張が解けていった。小宮はいつもこんな風なんだと思うと楽しげで、何となく小宮が優しくて忍耐強い理由も分かった。



「実都ちゃん笑うとえくぼ出んだね」

「本当だ、可愛い」

「何でお前らが山田を口説いてんだよ!」

「や、俺の母ちゃんも笑うとえくぼ出るから…」



焦る小宮は井澤のマザコンに複雑な気持ちになった。ただ同じと言いたかっただけなのか、井澤がマザコンだからそれが似ているなら好きになる可能性もなくはないという考えが過ったのだ。



「山田は彼氏いるから!」

「真山隼だろ?」

「アイツはスペック高いよな~」

「知ってるの?」



小宮の友人も真山と知り合いなのか。どういう知り合いなんだろう。みんな塾が一緒だったとか?



「俺らサッカー部だから中学の時は対戦したこともあるし、今は部活に混ざって何回か一緒にプレーしたことあるよ」

「真山、部活しない理由って何かあんの?実都ちゃん知ってる?」

「真山は練習キツくて中学で燃え尽きたって言ってたけど」

「まー、真山のとこ強豪だったしなー。もったいねーなー」



素人目の私ですらもったいないと思うのだから、サッカー部からしたらより惜しい存在なんだろうな。