仮に君と恋をしたなら




登校中、何度か軽い咳が出たけど、今日は帰ったら直ぐに薬を飲んで寝よう。

私は、授業中にノートを広げて板書をしている振りをして、明日のお弁当の献立を考えていた。今まで購買で済ませていた為、イメージが湧いてこない。終いにはお弁当の歌を脳内で再生して口パクしていた。一通り歌い終えて参考にならないことに気づいた。

昼休み、真山は今日も体育祭委員で、私は一人購買で列に並んでいたら小宮が声を掛けてくれて、小宮の友達も一緒に花壇の所で食べることになった。先に花壇の所で場所取りをして待っていた小宮の友人が私たちに気づいて駆け寄ってきた。



「へー、アンタが山田さん?」

「圭輔の想い人?」

「おい、やめろって!」



初対面の男に囲まれて、私は萎縮した。小宮が私を庇って、友人二人を紹介してくれた。



「ごめん、これ俺のダチで井澤(イザワ)と木戸(キド)」

「そんだけかよ」

「雑すぎ!俺、木戸貴士(キドタカシ)」

「俺は井澤善人(イザワヨシト)宜しく」



小宮の紹介に納得いかず、自ら名乗ってくれた。