仮に君と恋をしたなら




真山の前ではとぼけてみたけれど、この喉の感じは完全に風邪だな。このタイミングは辛い。



「いよいよ、体育祭明日だな」

「張り切ってるね」

「おーよ!めんどくせー委員も明日で終わりだしな!」

「楽しそうに見えたけど」

「え?」



しまった!
この間の体育祭委員の集会をちょっと覗いていたことは真山に話してなかった。



「あの、通りすがりに見えて賑やかだなって」

「まーな。あーいうのってクラスでも元気な奴が多く集まるし」



ちょっと、聞いてみようかな…



「真山、最近お弁当なの?」

「え? あー、いやあれは大塚の。あいつ自分で弁当作ってんだって!なのにいつも食べきれないからって俺が残飯処理してんだよ。ま、うめーから全然良いけど」

「へー、良かったね」



食べきれないなんて嘘だよ。そんなのきっと、悠が真山に手料理を食べてほしいからに決まってる。



以前使っていたお弁当箱よりサイズアップしているのを知っているから、私はそんなことを思ってしまう。



「山田は料理とかしねーの?」

「しない」

「ま、山田が弁当箱持ってるとこ見たことねーしな」



作ってもいない段階でもう悠と比べられるんだな。作ったら比べられるから止めとこうと思っていたけど、なんとなく悔しい気がする。