昼休みに真山が体育祭委員で居ないのはつまらないが、一人は一人で最近の出来事や考えを整理するにはちょうど良い。
私は、今日もたまごサンドを買いに購買の良くわからない乱れた列に並んでいた。在庫数がギリギリの所で順番が来て、たまごサンドが購入出来たことにホッと息を吐いたとき、隣から聞き覚えのある声がした。
「今日も真山は委員会?」
隣の列でパンを購入していた小宮が私に気づいて声を掛けてきた。
「うん。大変そうだけど、楽しくやってるみたいだよ」
「そっか。真山が居ないとき、山田は昼どうしてるの?」
「変わらないよ。いつもの場所で一人で食べてる」
「一人で?なら、俺と一緒に食べない?」
昼食を誘われてしまった。
小宮とはなるべく距離を置こうと決めたばかりだから、直ぐに返事ができなかった。
「…ダメ、かな?」
「その、一緒に食べるのが嫌ってわけじゃないんだけど…」
「良かった。なら、行こっ!」
小宮は私の手を引いて廊下を突き進んだ。私は、周りの目を気にして小宮の手を離してしまった。
「!」
「…あ、ごめん」
「や、俺の方こそ。ごめん、強引だった?山田と一緒に昼食べれるチャンスだと思って焦ったかも。悪い」
正直な人だな。ちゃんと相手も思いやれるし謝れる優しい人なんだよね、小宮は。


