真山はベンチに凭れ掛かり、紙パックのカフェオーレを飲み干した。
「あ、今後昼休みもたまに体育祭委員で召集されるらしい」
「そうなんだ。ドンマイ、がんばれ」
「山田はその、平気か?」
ああ、真山は昼休みに私が一人になることを心配してくれているのか。悠も紫もみんな体育祭委員だからな。
「んー、サンドイッチ調達員が不在だと昼食が心配かな」
「お前な」
「冗談!大丈夫だよ。私のことはお構いなく」
私は、食後の口直しにペットボトルの水を口へ含んだ。手元を見ずにキャップを閉めようとした途端にくしゃみが出て失敗し、キャップが真山の方へ飛んでいってしまった。私は、咄嗟にキャッチをしようとして、そのまま真山に身体を預けるような態勢になってしまった。真山は手を添えて私を支えてくれた。
「何やってんだよ、大丈夫か?」
「ごめん」
「風邪か?」
「かなー?」
私は、身体を起こした。今朝ちゃんと髪を乾かして来なかったことを悔いた。指で髪の根元がまだ少し湿気ているのを確認した。
「髪、良い匂いすんな」
「え?あー、それ小宮にも言われた。」
新しいシャンプーはどうやら香りが良いらしい。自分ではあまり感じ取れない。


