私、此処に来て何も成長してない。
醜態しか晒してない。
「そこの自販機だし、すぐ戻ってくるから待ってろ」
「…」
私は返事をしなかった。
真山は自販機に向かって歩き出した。
あ…
「?!」
私は真山を追いかけて、真山の制服の袖を掴んだ。
「え、何…?」
「花壇で…写真撮ったカップルの彼女が私たちと別れた後にやってた」
「え…うん。で?」
他県のカップルは彼女が制服の袖口を掴んだ後、彼氏が気持ちを汲み取り、その手を取って繋ぎなおしていた。真山には何も伝わらなかった。これが、本当の彼氏彼女との差か。
「真山ばっかり成長しててズルイから、彼女らしいこと私もやってみた」
不発だったけど。
「で、私なりに考えて…ジュースも隣で選んで一緒に買うべきかなって…」
「何それ、いきなりそんな可愛いことすんなよ!焦んだろ。あ〜ビビった」
可愛いことなんだ…。焦るんだ。少しは効果があったのかな。
「んじゃ、選んでもらおっかな〜」
真山は自販機に2人分の小銭を投入していった。
「ボタン押して、俺のも!」
私はミルクティーとカフェオーレのボタンを押した。すると自販機から大きな音がなり、お金を投入する上部でランプが七色に点滅した。


