今だ!
と、互いにノートを同時に投げ合った軌道が重なってしまい、私と真山のノートがキレイに通路で空中衝突し、落下した。
バサバサバサッ、カン、パタン、パサ
物音に驚いて視線が集まった。
「何事だ!」
先生が教壇を下りて、床に横たわるノートを拾い上げた。
「山田、真山…廊下に立ってなさい」
「…」
「…はい」
私たちは席を立ち、廊下に出た。
化学といい、数学といい、二日連続廊下に立たされるとは。本来、真面目な方だったのに。ここ最近、悪目立ちし始めてきている。
もう、問題児として見られてるのかな。目立ちたくないのに。
「真山がノート間違えるからー」
「悪い!昼、プリン奢る」
「もぅ!…許す」
私も甘いな。プリンでほだされるとは。
でも、簡単に流せないこともある。
「真山」
「ん?」
「朝、何で止めたの?」
「何が?」
分かってるくせに、とぼけてるの丸わかりだ。
「本当のこと話そうとしたら、遮ったでしょ」
「そうだっけ?」
「何で?私は真山が自ら印象下げるようなことして欲しくなかった」
「じゃ、同じだ。俺も山田の印象下げたくなかったんだよ。俺ら、もう共犯だろ?」
こんな、心優しい犯罪者がいるかバカ。


