そして言った。

「死ぬな! どうしても死ぬというのなら俺を殺してからにしろ…!」

先輩のこんなに切ない顔を見るのは初めてだった。

今、ナイフは先輩の方に向けられている。

先輩が自分に向けていたのだった。

私はナイフを離した。

私に、先輩を刺すことはできない。

溢れる涙が止まらなかった。

先輩の背中にしがみつき泣き続けた。