悪役の私







…潤とのデートで、こんなにもリードしてくれることなんてなかったな…。




本当はずっと、こういうデートに憧れていた。



2人で道に迷い続けるデートじゃなくて、2人で時間をめいいっぱい使って楽しむデート。




こんな些細な願いも、叶えてくれたのは優だ。




はっ、ダメダメ。



こんなにも幸せな旅行であの人のことなんて考えちゃ。




気持ちを切り替えて優についていく。




…それにしても、やけに詳しすぎない?



もともと全て知っているかのように、スムーズにリードしてくれる優。



もしかしたらやっぱ年上の優は、彼女とかと来たことがあるのかもしれない…



急にネガティヴな方向に考え出してしまった私はだんだんと表情が暗くなる。



ダメだ…


一回逃げよう…





「ごめん!優、ちょっとトイレ行きたい」





私は走って近くのトイレへ向かった。