「えっ…やっとキスしたの?」
「うっ、うん…」
「優、やったじゃん!22歳にしてファーストキッスだね」
「…なんか、バカにしてるでしょ…」
ジロッと私を睨む長谷部 優(ハセベ スグル)はバイト先の先輩。
私の中の22歳の男って、もっと盛っているイメージなのだが…、優はすごく純粋で、彼女と付き合って半年でやっとキスが出来たらしい。
ケラケラと笑いながら話し続ける私達の声は
「ほらー、鍋出来たよ〜。」
という金田先輩の声で自然と途切れ、鍋に目線が移る。
「わっ、美味しそう〜。」
今日はバイト先の忘年会。
とはいっても、一人暮らしの金田先輩の家に4人で集まってコタツの上に鍋を置きみんなでつつく、いわゆる鍋パーティー。
お酒を飲んだりゲームをして、最終的にはみんなで川の字になって寝るという、いつもお決まりの流れだ。
私が1番右端で左隣には優という配置は、初めてみんなで集まるようになった時からずっと変わっていない。
美味しそうに野菜を食べる優を見る。
全然、年上って感じがしないんだよなぁ。
私より2歳年上のはずなのに、
ピュアすぎてどちらかといえば可愛いと思ってしまう。
「美味しかったね!」
あっと言う間に鍋は食べ終わり、だらだらと過ごしているうちに段々と眠さが私達を襲う。
「さっきまでめちゃめちゃ盛り上がってたのに…」
気が付けば起きているのは私と優だけだった。