悪役の私







特別何かを話すわけじゃない。




横になって優と目が合った時にはもう、なにも考えられなかった。






…私にはちゃんと、彼氏がいる。



…優にもちゃんと、彼女がいる。




わかってるのにわからない。




誰にも見えない布団の中で、私はまた優の手をぎゅっと手を握りしめる。




返してくれなかったら、諦めよう。



離されたら、諦めよう。





私の心臓は、今までにないほど音を立てていた。