悪役の私











気がつけば私は、ぎゅっと優を抱きしめていた。



心はすごく穏やかな幸福感で溢れていて



ドキドキするけど、幸せだと感じていた。



このまま、ずっとこうしていたい。




このまま、ずっと………






そして、はっと目が覚めた。




優の手の心地よさと歩き続けた疲れのせいか、いつの間にか夢を見ていた。



幸せで、残酷な夢。




目の前にある、優の顔。



フワフワの髪の毛。



長いまつげ。



…愛おしい。




その後のことなんて、もう何も考えられない。



目の前にある幸せに、触れたい。




そっと、頭を撫でると優は目を見開いた。




そしてすごく優しい顔をして優は私の顔をなぞる。





「優…」





私には潤という彼氏がいて



優にはさきちゃんという彼女がいて




そんなこと、どうでもいい…



私達はそのまま、惹きつけ合うようにキスをする。




優しく、触れるか触れないかくらいのキスを





何度も



何度も。