悪役の私







「彼氏さんとたくさんキスしたんだね。」




「……うん。」




いつものように優の車の中に移動すると、優は少し悲しそうな顔で言う。




私と潤とのやりとりを知った優はやはり、嫌な気持ちになってしまっていたみたいだった。




「キスしないと、怪しまれるでしょ?だから、しなきゃいけないんだよ。」





…本当は。




潤とやり直すことはきっとないと気がついたあの日から、潤の舌が入ってきた瞬間に気持ち悪いって思ってしまうくらいに、潤に対して冷めてしまっている。



…でも、断ることも出来ないまま、受け止めてしまうんだ。





馬鹿みたいだなって、思うのに




後に残るのは後悔なのに




目の前の彼を傷付けられなくて




どんどん演技が上手くなっていくんだよ。