〈これで俺の番は最後だからな〉
俺は美咲と貴紀の顔が重なっていくのを遠くから見ていた。
さすが貴紀だな。
もう美咲のこと落としたのか。
なんて感心したけど、同時にすげーモヤモヤする。
モヤモヤは自分の席に戻っても全然収まる気配がない。
おまけに周りの女どもが
「ちょっとリュウくん、あの女浮気してるって!!」
「よりによって虎谷くんが相手とか、どんだけサイテーなわけ!?」
とかなんとか。
いやいや、浮気じゃねーっての。
俺と美咲は主と下僕の関係だったけど、貴紀と美咲は彼氏彼女なんだっての。
「だって、キスしてなかった!?」
「ううん、キスしそうになっただけみたい」
騒ぐやつらの言葉が嫌でも耳に入ってくる。
その時思った。
美咲のあの潤む瞳を貴紀も見たのか、って。
ぷるぷる震える体を抱きしめるのは俺じゃなくて貴紀。
これからは朝も昼も夜も。一生懸命に動き回る美咲を見てるのは俺じゃなくてほかの男ってこと。
あ~、なんだこれ?
あんな美咲を見ていいのも、触れていいのも貴紀じゃねーって思うとか。
俺は親友の恋も応援できねーのかよ。
今になって美咲は俺だけのものだって思うとか。ありえねー。。。



