拗らせDKの偏った溺愛



「名付けて”待っててもダメ・覚悟を決めて体当たりでお願い作戦”」


突然虎谷くんがそんなことをおっしゃったので、私も綾乃ちゃんもポカンとしてしまいました。


「あはは、二人ともかわいい」


女の子なら、誰でもドキッとするような笑顔とセリフをサラリと言った後、


「美咲ちゃんはなにもしなくていいよ。たぶん、今、竜也がこっちを見てるんじゃないかな」


と言って、私の頬に手を添えて涙でぬれた部分を隠しながら、竜也くんがいるであろう応援席が見えるようにしてくださいました。


「はい、ちょうど女の子たちをかき分けて、こちらに来ようとされています」

「じゃあ、ちょっとだけごめんね」


ごめんね、が何のことだか理解する前に、虎谷くんがもう片方の手を私の頬に添えて、ぐっとご自分の方へと引き寄せました。


「ひゃぁ」


びっくりしている私のおでこに虎谷くんのおでこがコツンとぶつかりました。

まるで、救護用テントで竜也くんが私に熱があるんじゃないかと言って取った行動と同じです。


遠くでも近くでも

「「いや~~!!どういうこと!なんでトラくんが!?」」

というような声が上がっています。

カチンコチンに固まってしまった私に至近距離の虎谷くんがウインクを一つ。

その直後です、虎谷くんの透き通った茶色い瞳が閉じられたかと思うと、今度は唇が近づいてきます~~~!!???

固まっている場合ではありません!

とっさに自分の手を虎谷くんの顔と私の顔の間に差し込みました。

それ以上唇が近づいてくるのを阻止するために。