なるほど。

裕司さんは見届け人というか、審判のような立場というわけですね。

審判だとしたら、本来中立であるべきです。

それなのに、もしここでおぼっちゃま側について竜也くんと一戦交えようモノなら、裕司さんの上司にあたる”オヤジさん”とやらが、いわゆる筋が通らない卑怯者になってしまうというわけですね。


「ゆ、裕司!お前はオヤジの側近だろ!!オヤジの息子である僕を守るのは当たり前だろ!ゴチャゴチャ言ってないで、さっさとそいつをやっつけろよ!」


あちゃ〜〜〜

裕司さんのお話が全く通じてないようです。

不憫な裕司さん。


「はぁ〜〜〜、だから嫌だったんだ…」


裕司さんは深々とため息をつくと、ボソッと呟かれました。


「アンタも大変だな」


流石の竜也くんも裕司さんには同情されたようです。


「そんなわけで、最終的にお前みたいなクソガキのためになるってところが癪に触るけど、ここは若の顔を立てていかせてもらうよ」


軽く肩をすくめて、やれやれしょうがない、という表情を浮かべた裕司さんでしたが、次の瞬間には竜也くんの間合いに踏み込んでいらっしゃいました。

!!!!!!!!!!

この方、ものすごくお強いです!!!!!

話し方はもちろん、立ち姿にも全くそんな素振りはなかった裕司さんの、突然の戦闘モードに、流石の竜也くんも遅れをとったのでしょう。

裕司さんの最初の一撃を受けて、後ろへ吹っ飛ばされてしまわれました。

ザザザッ!

それでも最後は足を踏ん張って、なんとか倒れることは免れたご様子。

裕司さんの攻撃は、スピードはもちろん、間合いを詰めるタイミングも抜群でした。

その裕司さんの素晴らしい一撃を受けて、なおも倒れずに済んだ竜也くんには感銘を受けてしまいました。

でも、裕司さんはそんな私にさらなる衝撃を与えるに十分な一言をおっしゃったのです。