拗らせDKの偏った溺愛




薄い笑顔を浮かべた怖そうな人にエスコートされてしまい、渋々ドアをくぐって廃工場の中へと入ることになってしまいました。

ドアの側で待っていればいいのかと思っていたのですが、甘かったようです。


「ここじゃなんだから、特等席に案内するよ」


と、有無を言わさない圧で乱闘騒ぎの近くへと連れて行かれました。

特にどこかを拘束されたり、無理矢理歩かされたりしているわけではないのですが、どうしてかこの方には逆らってはいけないような気がするのです。

それに正直なところ、竜也くんが大丈夫なのかどうかがものすごく気になっているのです。

案内付きとはいえ、近くで確認できるのは助かります。

ただ、竜也くんが私がここにいることに気づいたら…この怖い男の人よりもっと怖いかもしれませんが・・・。

ですので、なるべくこの怖い人の影に隠れるようにして様子を伺わせていただきたいと思います。


「さすがにこの距離は怖いか?」


影に隠れるようにしている私を、当然竜也くんと私の関係をご存知ないこの方は、乱闘への恐怖だと勘違いしてくださったようです。