知絵は中川の最終取り分の一割を条件に並木翔を調べる契約を中川と交わした。

といっても契約書はないので口約束でしかないのだが。
 
金の亡者と化している彼女に良心という二文字はない。

スパイとして確実に任務をこなさなければ。
 
そして中川も利用してやる。

「一位は私よ」

肩を震わせ笑っている知絵を美咲は後方からじっと見つめていた。