路地裏を歩いていると前方に孝也の前にここへ入った人が見えた。

孝也ぐらいの年齢で身なりもみすぼらしかった。

シンプルなTシャツと穴の開いたジーパンで十一月にしては寒そうな格好をしている。

茶髪がビルの間を吹き抜ける風で揺れていた。

孝也の視線を感じたのか、振り返った彼と目が合った。

男は止まったまま動かない。

孝也はどうしていいのか分からず遠慮がちに近づいた。