アパートに来て土下座までされたら情に厚い孝也は断ることができなかった。

正直、友人といってもたいした仲ではなかった。
 
彼がおこした事業は失敗に終わり借金は二千万円にのぼった。

そしてその借金は夜逃げした彼によってすべて孝也に降りかかった。
 
孝也も三百万円はなんとか賄えたものの、とても残り一千七百万円は払えそうにない。

精神的に追い詰められ自暴自棄になった孝也は勢いで会社を辞めてしまった。

我ながら馬鹿なことをしたと思う。