「はい」

男が答えると女性は二人に白い用紙とペンを渡した。

「ではこちらにご記入していただき、あちらのカウンターまでお持ちください」
 
周りを見渡せば参加者らしき人がごろごろいる。

この男が言っていた通り、スーツを着ている者数えるほどで大半はラフな格好をしている。
 
床も壁もコンクリートで張り巡らされていて光となるものは薄暗い蛍光灯一本だ。

カウンターも、ただ長テーブルの前で女性が参加用紙を回収しているだけ。
 
とても大金を稼げる場所とは思えなかった。

早くも来たことを後悔する孝也。