もしかしたら彼は人を見透かす能力があるのかも知れない。

そんな考えが頭をよぎったが、彼の一言で肩透かしに終わった。
 
「スーツで来る人間はいませんよ」
 
「あ…そうなんですか」

ギャンブル=スーツの方程式が成り立っていた孝也は少しがっかりした。
 
それよりも向かいの男を見ると何か違和感を感じる。
 
「もう受付終了間近ですよ。早く行きましょう」
 
促された孝也は彼の後ろをついて行った。