夜の繁華街。

人々が行き交う中で雪村孝也は右往左往していた。

時折人にぶつかっては頭を下げる。

その繰り返しで一時間前から数十メートルしか進んでいない。

しかし道に迷っているわけではない。

まぁ、人生という名の道に迷っているのであながち間違ってはいないが。

すれ違う人間はみな、ブランド物のアクセサリーや高級腕時計を身につけ洒落た服を纏っている。