塩原 透香(しおばら とうか)。俺の彼女はいつも素っ気ない。

1年のクラス委員で一緒に仕事をするうちに惹かれて、2年の初めに俺が告白して付き合うことになった。

透香の媚びない性格とクールだけどちょっとドジで、でも話をすると面白いところが好きだ。それに、前の彼女が重かったせいもあり、フランクな関係でいられる恋人に憧れていた。

でも、

「ちょっとドライすぎるよなぁ…」

スマホの画面を見てため息をついた。
2年になってからクラスが離れ、直接話せる機会が減って基本的に帰りの駅までの道のりが2人の時間になった。
一応毎日連絡は取れているものの、それがとてつもなくドライなのだ。

俺< 一緒に帰ろ〜

透< b

俺< 今日掃除ある?

透< 無いよ

俺< じゃあHR終わったらいつものとこで^-^

透< b

……なに「b」って、グッドって意味なのは分かるけどさ、、
もっとこう、あるじゃん…?

確かにフランクを望んだけどここまでされると正直ちょっと悲しい。

もっと、甘えたりしてほしい。


今日は、ちょっと拗ねてみようかな。



「透香〜〜、ごめん、先生に引き止められちゃってさ、遅れた…」

「大丈夫。電車、次56分かな。」

「あ、うん…」

ど、ドライ…


たまには、
もぉ〜、遅い!…とか言ってほしい気もする

「翔太、髪ぐしゃぐしゃ」

突然フッと笑った透香の細く白い手が俺の髪を撫でる。

「あ、走ったからかな…///」

こういう唐突なスキンシップを平然とこなしてしまう透香に、いつもドキッとしてしまう。こういう時、俺は多くを求めすぎてるんじゃ無いかと思ってしまう。
でも、今日こそは…

「ねえ!この後暇?カラオケ行こ!」

「えっ…暇だけど…私歌下手だし…」

「いいの!暇なら決定な〜」

「翔太今日強引だなぁ…」

2人きりなら逃げ場は無い!
今日こそ透香の甘えた時の顔を見てやる!