「…お父さん、私やめる」
「琴葉…」
「もともとね、限界寸前だったんだ。あの日だって、吐きそうになって、お昼も食べる時間なくて、ゼリーとか持ち歩いてた…」
「…琴葉、そんなに…」
「だから、ごめんなさい。やめさせてください。家事はちゃんとする。他のバイトするから、だから…」
最後まで言い終わる前にお父さんに抱き締められる。
「お父さん…」
「ごめんな。琴葉、気付けなくて、助けてやれなくてごめんな。ごめんな…」
「お父さんのせいじゃないの!…私が、お父さんの傍にいたかったの。一緒にいたかったの!だから、お父さんのせいじゃないの!」
だから、お父さんが泣かないでよ…。
私を抱きしてたまま、泣き崩れるお父さん。
嫌だよ。お父さんが泣いたら、泣けないの。お父さんの悲しい顔、見たくないの。
だから、だからお父さん、自分を責めないでよぅ…。
お父さんが泣きやむのを必死に待って、やめることを約束して、自分の部屋のベッドに寝転がる。
…お母さん、なんでいないの?なんで、お父さんを1人にしたの?お父さん、お母さんがいないと倒れちゃうよ…。
浮かんできた涙を必死に押し殺して、枕に顔を押し付けて眠りについた。


