私のご主人様


「夢、じゃないの?…嘘、嘘だ…」

嫌だ。夢、じゃない。夢じゃ、ない…。

「…っあ…うわぁぁあああ!!!」

嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ!!!

喉が痛い。声を出してるはずなのに、音が遠くて聞き取れない。

どうして…どうして、私ばっかり…。

「こと」

「…なるや?」

気がついたとき、成夜に抱き締められていて、部屋が変わっていて、いつの間にか日が昇っていた。

頭痛い…。成夜の肩に頭を預けると、頭を撫でてくれた。

「こと、ごめんな。助けてやれなくて、怖かったよな」

「…成夜」

「ん?」

「やめたい。もう、嫌だよ…」

「いいよ。やめよう。俺も使用人になるの、やめたんだ。一緒に高校行こうな」

「…っうん」

「見てねぇから。泣くなら泣け。今日はずっといるからな」

「っうん」

誰にも見えないように包み込んでくれる腕も、男の子らしい体も、全部優しくて、温かくて、心の底から、ここにいれば大丈夫だって思えた。

なのに、涙は全く出てこなくて、成夜は悲しそうな顔をしてた。