「料理長!宮内さんが悪い訳じゃないでしょう。宮内さん、いいから。晩御飯は変更しないようにね」
料理人さんが流石にまずいと思ったのか飛んできて、すぐに出るように促してくれる。
頭を下げて逃げるように厨房を出て、電話のある部屋まで行く。
奥様御用達の宝石店に連絡すると、やっぱりいくらなんでも無理だと断られた。
「せめて前日には連絡してくださいね」
「はい。失礼いたします」
電話を切って、ため息をこぼす。
あー。またかんしゃくかぁ…。
いっそのこと熱湯被せてくれないかな。そしたら、病院送りになるよね。
そしたら、しばらく入院できるかな…。そしたら、しばらく休めるかな…。
…なに考えてるんだろ。やめよ…。
とにかく奥様に言わなきゃ。
「えぇ!?来れないの!?」
「前日までに予約して欲しいとのことです」
「だから昨日言ったじゃない!!」
だから知らないって…。
「役立たず!!ふざけないでよ!!」
あーあ。始まった。


