私のご主人様


「…こと、悪い。俺…」

「いいよ、いつものことだし。昼なんでしょ?ここ右に曲がった左の3つ目の部屋だから。お疲れ」

「こと!!」

成夜の声を無視してワゴンを押す。

お昼休憩に向かう使用人さんたちとすれ違いながら戻ってきた奥様のお部屋。

無理矢理息を吐き出して、深呼吸する。

「お待たせいたしました」

「遅い!!いつまで待たせんのよ!!」

「申し訳ありません」

「まぁまぁ、百合花さん、突然だったんだし…」

お客様に気を使わせる。あぁ、この財閥さんとはもう縁が切れるんだろうな…。

旦那様に怒られるのはきついな…。

そんなことをぼんやり考えながら料理を出して、すぐに下がる。

なんとか機嫌が戻りかけてる奥様は、それ以上文句を言うことはなかった。

でも、お客様はやっぱり限界で。お昼を食べ終えるとそそくさと帰られてしまった。

あー。デザートまた無駄なんだ…。今料理長に怒鳴られるのはきついな…。